ハンドルネーム
yoshiki(平成19年度京都大学高専会代表)
編入学年度
平成19年度
京都大学での学科・コース
情報学科 計算機科学コース
出身高専・学科
奈良高専 情報工学科
詳細な体験記
以下のリンクは、著者の詳細な体験記ですのであわせてご覧ください。京都大学以外のものも掲載しております。全てPDF形式となっています。
- → 編入試験体験記(著者の編入試験の全体の概要)
- 京都大学:→ 簡易版 → 詳細版
- 名古屋工業大学:→ 簡易版 → 詳細版
- 千葉大学工学部:→ 簡易版 → 詳細版
- 名古屋大学工学部:→ 簡易版 → 詳細版
- 大阪大学基礎工学部:→ 簡易版 → 詳細版
高専時代の順位
- 1年:2番
- 2年:1番
- 3年:1番
- 4年:1番
1~4年総合成績1番(平均94.3点)
他大学の受験状況
- 名古屋工業大学 情報工学科:合格
- 千葉大学 工学部 情報画像工学科:合格
- 名古屋大学 工学部 電気電子・情報工学科:合格
- 大阪大学 基礎工学部 情報科学科:合格
- 大阪大学 工学部 電子情報エネルギー工学科:受験辞退
- 東京工業大学 情報工学科:受験辞退
編入の勉強を始めた時期と勉強時間
編入を意識し始めたのは2年生と早く、3・4年生は編入試験に直結する授業には特に力を入れて理解に努めました。4年生の夏休みから数学の復習と英単語の勉強を始めて、4年生の10月くらいに志望大学の過去問を入手してからは勉強のペースを上げました。4年生の10月から2月までは1日2時間程度、春休みは1日8時間程度、5年生にはいってからは平日3~6時間、休日5~10時間です。
一般科目の勉強
英語
長文読んで単語を鍛える方法もいいのですが、1文にわからない単語が3つ4つあると読む気を無くすので、まず単語を覚えました。京大の英語の試験は過去問が公開されている過去5年分を見ても、英文和訳、英文要約、和文英訳の3つしかないので、対策はしやすいと思います。文法は、「英語の構文150」という本で勉強して、通学中などはそれのCDを聴いていました。春休みからは旺文社の標準問題精講シリーズを買って勉強しました。
数学
まず教科書だった「高専の数学」の例題をすべて復習し、秋ごろに「大学編入学 数学/徹底演習」を買って勉強しました。そのほかの参考書は、解説の詳しいものを重視して、「大学・高専生のための解法演習 微分積分」のI・IIを図書館で借りて使いました。
京大の問題は毎年微積分、線形代数、確率から出題されており、H19年度もその傾向はかわりませんでしたが、過去問より格段に難しくなった気がします。東大の数学も難しいのですが、東大の問題と大きく違うのは、京大の問題は小問が少なく、問題の解き方を誘導してくれないところだと思います。じっくり考える力を身につけてください。
物理
サイエンス社の「基礎物理学演習」を買って勉強しました。過去5年、力学と電磁気学しか出ていないので、熱や波動にはほとんど手をつけませんでした。私は使いませんでしたが、時間があるなら詳解物理学演習などの分厚い本にも手を出してみてはどうでしょうか。
化学
実は物理よりも時間を割いて勉強しました。まず大学受験用の本を買って勉強し、それからは高専の化学科で使っている本を中心に勉強しました。知識を問う問題が多く、年々易化しているようなので諦めずに勉強したほうがいいと思います。
専門科目の勉強
情報学科計算機科学コースの5年分の過去問を見ると、H15年度のソフトウェアだけがすごく適当な問題ですが、それ以外はほとんど同じような問題が出題されています。とにかく論理回路とデータ構造・アルゴリズムだけに的を絞って勉強しました。
お薦めの参考書
- 岡田伸夫:英語の構文150、美誠社
- 原仙作:英文標準問題精講、旺文社
- 林義実他:大学編入試験問題 数学/徹底演習、森北出版
- 永田一清:基礎物理学演習I・II、サイエンス社
- 卜部吉庸:理系大学受験 化学I・IIの新研究、三省堂
- ハート:ハート有機化学、培風館
- 河西朝雄:C言語によるはじめてのアルゴリズム入門、技術評論社
- 山田輝彦:論理回路理論、森北出版
英文和訳・和文英訳の問題も、1文1文をとってみると簡単な構文で書かれていることが多いので、この本で構文の基礎を固めました。付属のCDは260ほどの例文を英語⇒日本語⇒英語の順で読み上げてくれるので、聴いているだけでも勉強になります。通学時にはいつも聴いていました。
ひたすら英文を和訳する問題集。これができるくらいになれば京大の問題も大体解けると思います。
大学編入学試験の問題ばかりが載ってある、数少ない高専生のための問題集。みんな持っているのでとりあえず買っておく人も多いと思いますが、やっぱりいい問題集だと思います。
力学がI、電磁気学がIIに収められていますが、京大対策だけなら、熱・波・原子物理などは不要なので、コストパフォーマンスはあまりよくないかも。
700ページくらいある分厚い本です。大学受験に関してはこの1冊でばっちりですが、京大の編入試験に関してはばっちりとは言えません。が、この本をきっちり勉強したら3割は取れるようになるはずなので、基礎力強化にお勧めします。
化学科の教科書として使われた本です。近年の京大の編入試験を見ていると有機化学が特に難しいので、この本を使って勉強しました。ただ演習問題の答えがないのが少し残念。
5年分の過去問を見てもこの本に載ってあるアルゴリズムがほとんどです。同じアルゴリズムでもプログラミングの方法は1通りではないので、いろいろな本を読むことを薦めます。
専攻科で使っている教科書です。近年頻繁に出題されている複数論理関数の同時簡単化の問題の解説が載っているので使いました。
編入試験の出来
一般科目
- 英語:6~7割
- 数学:5割
- 物理:7~8割
- 化学:4~5割
専門科目
- ハードウェア:9~10割
- ソフトウェア:9~10割
面接(口頭試問)
聞かれたこと
- 志望動機
- 試験の出来
- 高専生活で一番思い出に残ったこと
- 卒業研究について
- 学部卒業後の進路
コメント
紙を見ていながら質問をしておられたので、基本的に質問内容は同じと考えてよさそうです。面接が終わると、まだ終わっていない人を待たなくてもよくてそのまま解散でした。時間は大体10分くらいで、あまり笑いを取れるような空気ではありませんでした。
志望動機
- クラスメイトや同級生に実力を証明するため
- 自分の学力の限界に挑戦するため
- 「学歴負け」をしたくなかったため(東大は3年かかるから自重)
- 優秀な学生がたくさんいるから
- 優秀な研究者がたくさんいるから
書き出すとこんなところでしょうか。
受験生へ
編入学試験の一番おいしいところは、国公立大学を試験日と確約書の制約内でいくらでも受けるところだと思います。H20年度からは試験日がズレて阪大基礎工との併願もしやすくなりましたし、先入観だけで諦めずにぜひ挑戦されることをお勧めします。