ハンドルネーム
anno
編入学年度
平成22年度
京都大学での学科・コース
工業化学科 工業基礎化学コース
出身高専・学科
旭川高専 物質化学工学科
高専時代の順位
- 1年:2番
- 2年:2番
- 3年:3番
- 4年:3番
- 5年:5番
他大学の受験状況
- 北海道大学:合格
北海道大学は基本的に「入学前提の受験」なので、私のように併願するのはお勧めできません。スケジュール的にも厳しいです。
編入の勉強を始めた時期と勉強時間
一般科目は大体3年後期か4年初めくらいに手を付け始めました。専門科目は4年後期あたりから。でも、勉強に本腰を入れ始めたのは5年の春休みからでしょうか。それまではグダグダとやっていた記憶があります。
勉強時間は、平日が2~3時間、休日が4~5時間程度で、夏休みに入ってから日に6時間程度やるようになりました。一般の出来を考えると、これでは十分ではないと思います。過去問に手を付けたのは5年7月から、5年分やりました。もちろんそれより前(大体4年くらい)に目を通して、範囲を確認しておきました。
一般科目の勉強
英語
英語は、3年後期から徐々に始めていきました。当時は単語も文法もままならない状態だったので、学校で使っていた文法の参考書を一通り終えてから、Z会の速読英単語で単語を勉強していきました。単語信者だったので、文法・構文は全くと言っていいほど手を付けず、とにかく単語しかやりませんでした。単語の勉強法は書くのとシャドーイング、文法や構文は、洋書を読みあさって補強しました(といっても、理解できたかといわれると疑問です)。自分のレベルを測るためにTOEIC IPを数回受け、4年後期にはスコアを665にしました(ちなみに、3年でのスコアは420でした)。TOEICはスコアが上がりやすいので、モチベーションを保てます。
このあたりから、TOEFLの試験勉強を始めました。専門的な単語を覚えて、参考書でリスニング対策をし、ライティング対策に英語で日記を付けました。スピーキングはあきらめ、リーディングとライティングで点を稼ぐことにしました。結果は下にありますが、今回の受験者と比較するといい方ではありませんでした。単語・文法・会話、全てに気を配っていないと高得点は難しそうです。トピックの当たりはずれもあります。
数学
4年あたりから、線形代数を中心に勉強していきました。範囲としてはジョルダン標準形まで。あとは教科書にある範囲と微積分(一通り)、複素解析(留数定理あたりまで)、ベクトル解析(テンソル以外)の参考書を2、3周。確率統計は手を付けたのが遅かったので間に合いませんでした。
この教科はどれだけやっても十分な気がしませんでした。事前の勉強も大切ですが、当日どれだけ考え、書き込めるかが大事な気がします。私はそれが出来なかったので…。
物理
鬼門でした。学校の授業は全く当てにならなかったので、「橋本流解法の大原則」と1、2年で使った教科書で高校物理の基礎から始めていきました。一通り理解し終えたら、次に3、4年で使った教科書でさらに詳しく勉強し、「物理学演習」を少しづつ解いていきました。分かる問題を飛ばし、分からない問題を解答を交え考えていく方法で、未履修範囲を削っていきました。正直苦痛以外の何物でもありませんが、めげずにやるのが大切です。「物理学演習」と同様の問題が試験でも多く出題されるので、やっていて損はありません。
この方法を1年ほど続けました。おかげで得点はだいぶましになったと思います。
化学
専門の延長で何とかなると思い、特別な勉強はしませんでした。
専門科目の勉強
有機化学
授業で使っていたハートを中心に、4年後期から勉強していきました。これを基礎として、5年でモリソン・ボイドに切り替え、詳しいところを勉強していきました。当日ではこれが活きたと思います。ただ、モリソン・ボイドは3巻構成で範囲が広いので、勉強するところを絞り込まなければ量が増えて大変なことになると思います。私は上巻全部と中巻の一部を繰り返し勉強しました。
反応とその機構、物質の性状を中心に勉強しました。反応は少し突っ込んで勉強しておくと、後々助かると思います。
物理化学
授業で使っている教科書とムーア物理化学の2冊で対応しました。教科書で復習し、ムーアの問題を解くという感じです。熱力学についてはこれでおおむねできました。勉強を始めたのも5年からで、そこまで早くありません。
一方、量子化学については全く駄目でした。そもそも、過去問を見て量子化学があると気付いたのが5年5月。完全に乗り遅れた格好で、勉強も教科書を見ながら波動方程式を解くような形でしかできませんでした。今年出題されなかったのは本当に助かった…。
無機化学・分析化学
無機化学は、教科書などを見て覚えるというよりは、問題を解いて慣れるようにしました。大学院対策の演習書が大変よかったので、これを何周かしました。範囲としては金属錯体まで。大学院の演習書なので、全部はやらず、過去問を参考に取捨選択しつつやっていきました。
分析化学も同じ演習書で対応しました。こちらはあまり勉強していません。
化学プロセス工学
「現代化学工学」で、流体、伝熱、反応操作の3つを中心にやっていきました。特に反応操作は全く分からない状態だったので、等温反応器を中心に何周も勉強しました。記憶するのが苦手な方なので、式は覚えず、物質収支・エネルギー収支の考え方だけを覚えて、式が必要なら組み立てて対応する方法で挑みました。これは当たりだったと思います。専門で一番大変でしたが、同時に一番報われた教科でした。
お薦めの参考書
- 速読英単語 必修編(Z会)
- 英単語4000受験英語からのTOEFL Test(Z会)
- 基礎 英作文問題精講(旺文社)
- 詳解物理学演習 上・下(共立出版)
- モリソン・ボイド 有機化学(東京化学同人)
- 化学熱力学中心の基礎物理化学(学術図書出版)
- 無機・分析化学演習―大学院入試問題を中心に(東京化学同人)
- 現代化学工学(産業図書)
レベルとしては高校生程度と高くはありませんが、英語が全く分からなかった私には、勉強を始めるうえで大変お世話になりました。今でも、たまにこれでシャドーイングをしています。
私はボキャブラリーが少ないのでかなりお世話になりました。前半に単語が羅列してあって、後半は200語程度の長文が載っています。ただ、CDには後半の長文しか入っていないので、少し物足りない人もいるかも。
ライティングの練習で日記を書くにあたり、参考にしました。良く使う構文などが簡潔に書いてあり、分かりやすいです。
問題量がとても多いのが魅力です。ただ、解法はそんなに詳しくないところもあるので、教科書や他の参考書との同時進行がいいと思います。物理はこの本でほとんどまかなえます。
上中下の三巻構成ですが、上中の二冊で大体間に合います。載っている反応が多いだけでなく、その機構もわかりやすく説明してあるので、大変便利です。有名らしいので、図書館においてあると思います。
学校で使っている教科書です。これと、ムーア物理化学で熱力学や反応速度論は十分対応できました。演習問題は少ないですが、内容はかなり分かりやすいと思います。
無機・分析はこれをメインにして勉強しました。大学院といっても編入試験との重複範囲が多くあります。全てはやらなくていいと思いますが、錯体くらいまではやっておきたいです。
化学プロセスはこれ一冊でほぼカバーしました。これがなければどうなっていたことか…。ここにある物質収支・エネルギー収支の考え方は非常に参考になりました。演習問題はそこまで多くはありませんが、これで十分です。
TOEFLの点数
42
受験者の平均は50前後でしょうか。化学科受験者の中では低い方だったと記憶しています。
編入試験の出来
一般科目
- 数学:3割
- 物理:6割
- 化学:8割
専門科目
- 有機化学:7~8割
- 物理化学:9~10割
- 無機化学:8~9割
- 分析化学:7~8割
- 化学プロセス工学:9~10割
面接(口頭試問)
聞かれたこと
- 志望動機を簡潔に
- 受験勉強はどのようにしたか(京大の教科書を使ったか、量子化学出てなくてよかったね、など)
- 他に受けた大学
- 大学卒業後の進路は考えているか
- ここが2年次編入だったら受験したか
- 高専からの進学先について
コメント
面接官は4人(多分)。志望動機など考えてきてはいましたが、緊張のあまりすべて吹っ飛び、アドリブでこなす羽目になりました。面接練習をする機会があるのなら、やっておいたほうがいいと思います。
面接時間は約10分でした。合格者は面接時間が少し長かったような気がします。面接が終わると、控室には通されずそのまま帰されました。
志望動機
京大が、旧帝の中で一番ユニークだと思ったので。京大出身の先生の勧めもありました。
受験生へ
受験勉強はただ長時間やるのではなくて、メリハリが重要だと思います。遊ぶときは遊ぶ、勉強するときは集中してする…という感じに。あまりグダグダするのはやる気の問題からお勧めできませんし、あまりはかどりません。
受験のときは駅前のホテルを利用しましたが、京大近くに宿泊施設があるならそちらにしたほうがいいかもしれません。バスは疲れます…。